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「空室対策しなければ、入居者の確保は簡単ではありませんよ。」
空室対策という言葉が頻繁に登場するようになって、もう10年以上も経ちました。
空室対策として、募集図面、周辺地図、POP、物件写真撮影方法、情報公開、不動産会社への訪問営業、リノベーション等、多くのノウハウで溢れかえっているのが現状です。
またオーナー側の意識も高まり、自ら入居者を確保するような強者オーナーも現れました。
そんな中、あるオーナーから、「原状回復工事にどれだけの費用をかければよいかわからない。」という空室相談を受けました。
そのオーナーの考えには、「退去後に設備の入れ替えをしたのでお金がない。なので、若干クロスに汚れやキズがあっても、そのままにしようと思う。
主要部分は新品なので、成約率に影響しなければ、修繕しない。」ということでした。
近年、賃貸住宅紛争防止条例や賃貸住宅トラブル防止ガイドラインが策定され、退去後の修繕は、故意過失がなければ貸主負担となり、敷金から費用を捻出するという考えは通用しなくなりました。
そのため、昔から賃貸経営を営むこのオーナーからすると、貸主による原状回復の費用負担に違和感があったのかもしれません。
しかし、原状回復工事を行い、お客様を迎えいれる部屋をつくったからこそ、成約し賃料をいただいているのだ、という賃貸経営の基本中の基本を忘れてはいけません。
地域によって空室率20%〜30%は当たり前の時代です。
様々なテクニックを使い、内見にたどり着いても、部屋をおざなりにしていれば、申し込みなど入るわけがありません。
投資であることを優先しすぎて、賃料をいただくお客様を置いてけぼりにしてしまえば、あなたの空室は埋まることはないでしょう。
なお、原状回復工事費用は日本不動産コミュニティーのテキストによれば、一般的に賃料の3割程度に抑えるとしています。
しかしこれはあくまで平均居住年数のサイクルで原状回復工事を行った場合に、3割程度とする形式的なものと覚えてください。
長期間入居したお部屋は、設備の取り替え時期も重なり、工事には多くの費用が必要となることでしょう。
費用が捻出できない場合、経費化できるリースを利用することや、賃料を値下げすることによって、結果的に一時的な支出がなく成約することもあります。
戸建賃貸は面積が大きい分、原状回復工事の費用も高額になりがちです。
しかしいくら戸建賃貸に需要があるからといって、前の入居者の生活感を残したままであれば、空室は続くでしょう。
空室対策は不動産管理会社とのWin-Winとなるパートナーシップが重要です。
不動産管理会社と連携し、適正な賃料と室内設備のバランス、そして不動産会社がお客様に一番に紹介したくなるような物件をつくりあげてください。
そして賃料をいただくのは、入居者、物件を選んでいただいたお客様ということを忘れないようにしてください。
この商売の基本を理解することが、究極の空室対策になるはずです。
2017年6月26日
高橋 淳
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